地方再生は仏心が命取り

学術的最先端分野の実用化として土地の安い地方を狙うという考えは

どこの施設でも考えることだ。

しかし、知り合いに近畿大学が東北地方で行っている

地方再生事業を取材したNHKの録画DVDを見せてもらって

唸っってしまった。

希少価値が高い花の効率的栽培方法を開発した近畿大学

東北の農家に技術を提供して栽培してもらったところ、

「夏の高温で花の色が変色するので冷却装置を設置する必要性がある。

それをしないと、商品として成り立たない」

と再三にわたって説明したにも関わらず、

「お金がもったいないから」といって

冷却装置を付けないで栽培する。

それで、当然花が変色して大損害が出る。

農家は「おまえの言う通りにしたら花が変色した!どうしてくれんだ!」

といって近畿大学の教授のところに怒鳴り込んでくる。

いや、

お金がないんだったら、そのプロジェクトに参加しない選択肢を選ぶべきであり、

参加するなら、教授の言うことを聞くべき。

しかし、言うことを聞かず、失敗すると怒鳴り込んでくる。

長年研究開発した最新技術なわけで、他では困難で国内生産できない

商材を、極めてデリケートな環境で生産できる最新技術を、

それまでの研究費用も請求せず、無償で提供しているにもかかわらず、

言う事を聞かず、自己流でやって、失敗して、激怒して怒鳴り込んでくる。

そのビデオを見て怖いなあと思った。

客観的データを提示して説明しても言葉が通じない。

地方では、そういう事がよく起こるそうだ。

だから、極めて土地が安い場所が地方にはゴロゴロあるのに、

研究所は地方に移転しない。

その話を聞いて、土地が安いのは地理的環境だけではなく、

ヒューマンウエアが極めて深くかかわっているのだなあと

思い知らされた。

地方には思いもかけないリスクがある。